HMBには下記の2つの効果が期待できます。
- 筋肉の合成を促進
- 筋肉の分解を防ぐ
本記事では上記のHMBの2つの効果について詳しく解説していきます。
HMBの効果その1:筋肉の合成を促進
HMBは筋タンパクの合成を促すmTOR(エムトア)を活性化する働きがあります。
mTORとは哺乳類ラパマイシン標的タンパク質といって、細胞内のシグナル伝達に関与するタンパク質の酵素です。
活性化されたmTORは筋タンパク質の合成を促す「p70S6キナーゼ(p70S6K)」を活性化し、一方で合成を抑制する「4EBP-1」を不活性化します。
図にまとめると下記になります。
HMB摂取 → mTOR活性化 → 筋タンパク質の合成を促す酵素(p70S6K)が活性化、合成を抑制する「4EBP-1」を不活性化 →筋肉が合成され太くなる
わたし達のカラダは「筋肉を作って」というシグナルが送られてこないと、筋肉は付かない仕組みになっています。
スポーツに例えるとHMBが「監督」、筋肉を作るたんぱく質が「プレイヤー」です。
監督の指示があることでプレイヤーが活躍できます。
HMBが筋肉をつけるのに効果的なサプリといわれるのは、現場で働く成分(プレイヤー)に対して的確に指示を送る働きがあるからです。
HMBの効果その2:筋肉の分解を防ぐ
HMBは筋肉の合成の促進の働き以外に、筋肉の分解を防ぐ働きがあります。
わたし達の筋肉は24時間、常に「合成」と「分解」を繰り返しています。
食事などから十分な栄養を摂ることで筋肉の「合成」と「分解」のバランスが一定に保たれ、現状の筋肉量を維持することができています。
合成の方が高かったり、「合成」と「分解」のバランスが取れていれば問題ありません。
ところが食生活が乱れたり、年齢の影響で「分解」にバランスが偏り始めた時が問題です。
筋肉の分解を促進するのはユビキチンプロテアソームという酵素。
HMBはこの筋肉の分解を促進させる酵素をブロックする働きがあり、その結果、筋肉の分解を防ぐ役割を果たします。
こちらもスポーツを例に上げると現場で動くプレイヤーが集中できるように、ヤジなどのマイナス要因を監督(HMB)がブロックするイメージ。
筋肉の分解を防ぐことが筋肉を効率的に付けることに繋がります。
国際スポーツ栄養学会ではエビデンスAを獲得
信頼できるサプリメントを選ぶ基準の1つに、2018年に国際スポーツ栄養学会が報告したレビューがあります。
国際スポーツ栄養学会はこの中で、筋肥大(つまり筋肉がつく)の効果を高めるエビデンスレベルを3つに分類しています。
エビデンス・カテゴリー | サプリメント |
【エビデンスA】 明らかに安全で 効果の強力なエビデンスを示すもの | HMB(トレーニング初心者) クレアチン 必須アミノ酸(EAA) プロテイン |
【エビデンスB】 限定された効果のある エビデンスを示すもの | BCAA アデノシン三リン酸 |
【エビデンスC】 効果や安全性を裏付ける エビデンスがほとんどない | アルギニン グルタミン CLA など |
HMBは国際スポーツ栄養学会でエビデンスAを獲得しているサプリになります。
HMBの効果を証明する論文
国内、海外ともにHMBの効果について、検証が行われています。
日本の論文
キューサイ㈱から発売されているHMB(小林HMB)の論文があります。
HMBの効果を検証した対象者はスポーツ選手を除いた成人健常者。
容量用法を守りHMBを摂取した結果、筋肉量の低下抑制に役立つ機能、歩行能力の改善に役立つ機能、体脂肪の減少に役立つ機能があることが報告されています。
消費者庁のサイトからその論文内容を確認することができます。
海外の論文
HMBが筋肉の合成スイッチの役割をし、たんぱく質の合成促進をすることがこちらの論文で報告されています。
また厚生労働省のこちらのサイトでは、HMBが筋力の増加に繋がった試験の結果報告が確認できます。
筋肉の分解抑制に関する論文はこちらの論文で紹介されていいます。
「効果あり」「効果無し」それぞれの論文が存在
上記ではHMBの効果が認められた論文を紹介しました。
一方でHMBを使っても有意差が見られないといった論文も存在しているのは事実です。
効果なしと結論づけている論文は普段からトレーニングしているスポーツ選手を対象にしていることもあり、データが偏っているのが現状。
HMBは約10年ほど前から注目されたサプリなので効果の検証については発展途上であり、今後効果についてはさらに解明されていくことでしょう。
まとめ
HMBの効果は下記の2つです。
- 筋肉の合成を促進
- 筋肉の分解を防ぐ
HMBは国際スポーツ栄養学会ではエビデンスAを獲得しています。
野球のダルビッシュ選手はHMBには効果があるとTwitterでツイートしています。
論文については今現在、効果のあるなしが分かれています。
対象者に偏りがあったり、最初から意図的に求めた結果が出るように研究している論文も存在しているため、論文に関したはまだまだ発展途上といえるでしょう。
とはいえHMBによる筋肥大の効果を実感している人が多いのは事実です。